レッスン Part2
こんな調子ですので競技会本番直前はなるべくキャロルのレッスンは無難にこなさなければなりません。何故ならキャロルは私達の事を思う余り明日が競技会だということを忘れ、今はまだ理解不可能な事を遠慮なく指摘し、私達を混乱させる・・・・可能性があるわけです。ですから競技会前は、キャロルには『明日は競技会だから 全体を通してお願いします!』と必ず言ってからレッスンを受けるようにしました。その一言を言っておけばこちらがちょっとでも困惑した感じを示せば『じゃあ、この事については又改めて言いましょう。』という事になるわけです。
今思えばキャロルは私達が上達する上では欠くことのできない存在だったと思っています。遠慮無く私達を混乱させてくれてその事によってダンスのより深い理解へいざなってくれた本当にありがたい存在でした。
このように、受け手が予期しないような情報を与えるということは長い目で見たときには今後の課題を明確にするためには必要なことかもしれませんが、直後に混乱したり、受け手がその課題に対するアドバイスを忘れてしまったりしてしまえば意味がなくなってしまうと言うわけです。
教える側としてはこのような情報は競技会などの本番直前に与えると言う事は避けた方が無難なケースが多いと思います。ただ、教わる側に新たな観点でダンスを見直すことが必要だと思ったら多少の余裕がある時期を見計らってその事について話し合ってみなければなりません。一時的には混乱させるかもしれませんがその中からまた新しい発見があるはずです。
日本では競技選手にとっては次から次へと競技会に追われ、なかなかじっくりと自分たちが見落としたり見過ごしたりしてしまっている分野についての研究に費やす時間が取れないと言う問題があるのではないでしょうか。長い目で見ると一時的にはダンスの上達が停滞してしまったように感じても混乱を恐れずに考えチャレンジすべき問題だと思います。
競技会やデモンストレーションの直前に受ける側のレッスンの受け方はどのような受け方が一番身になる受け方でしょうか?これをちょっと考えて見ましょう。
part3へ続く