レッスン中に困ること
引退して以来、レッスンをすると言う事が私の一日の多くの時間を占めるようになって来ました。
ダンサーを教えていて時々困るのが何かこちらから言った事を今までの自分の知識の中にある事柄の範囲で解釈しようとする人が意外に多いということです。
昨日紹介した『Web進化論』の中で現在から近い将来のネット世界における革新が「これまでの何者とも似ていない」ということを説明する際に著者がノーベル賞受賞者のファインマン教授の「量子力学」から
「量子力学は(中略)諸君が日常直接に経験するどのようなものにも全く似ていない。(中略)雲にも、玉突きの球にも、ばねにつけた重りにも、また諸君がこれまで見たことのある何ものにも似ていないのである」
という引用をしているのを見て、まさにわが意を得たりと感じました。つまり、これまでのニュートン力学などの知識からの先入観でそれらを見ても理解できない、と釘を刺しているのです。
私よりも若いがそれなりに経験を積んできたダンサーが自分のダンスにそれ程大きな革新を求めることを恐れるのか、或いはそんな意識は無いものの私のアドバイスがあまりに突拍子も無い事柄のように感じるのか、「それはこういうことですね?」という返答に「伝わってないなぁ」と感じることがあるのです。
もちろん私も経験があるので分かりますが、一言に「頭を柔らかく」と口で言うのは簡単ですが、とても難しいことです。
思い込みや先入観が強くなれば思わぬ袋小路にはまってしまいます。
若く、現役でチャレンジしているうちに多くの経験を積みながら、柔軟に物事を考える能力を高める訓練をして欲しいと願うばかりです。
ダンスという肉体芸術は目に見える動き以外の一般の人にも見えるけれど一般の人には説明できない動きをすることによって別の世界に移行できるのではないかと考えています。
うわーっ、なんのこっちゃ!こりゃ確かに難しいね!!