祖国とは国語
『国語が思考そのものと深く関わっている事である(中略)言語を用いて思考するという面がある』『母国語の語彙は思考であり情緒である』『知的活動とは語彙の獲得に他ならない』(本文より)
だから国語教育が重要だと著者は訴えています。内容的に『国家の品格』と重複した部分も多く見受けられました。また、その他エッセイ集、著者が生まれた満州への紀行文『満州再訪記』も興味深く読みました。
近々小学校では円周率を「3」で教えるようですね。私達は無理数である円周率『π(パイ)』を「3.14」で代用していました。この本の中でこの事実を著者は「犯罪的」と言っています。ほんとですね。「3」に何の意味を見出せばよいのでしょうね。直径が「1」の円の円周の長さが「3」ですか?これには著者も相当ご立腹です。ごもっとも。
ところで、何でもそうでしょうがある事柄を深く理解し、極めようと思えばその世界の語彙の獲得が欠かせません。コンピューターならコンピューター用語、株式売買に挑戦しようと思えば経済用語などです。
ダンスも全く一緒で、『CBM』、『CBMP』等各種『Position』、『ポイズ(Poise)』と『ポスチャー(Posture)』のニュアンスの違い、『スウェー(Sway)』、『Foot』と『Reg』、主な筋肉の名称とその働き、『4Tracks』などなど知らないと説明したり質問したりするのに困るような事態になってしまいます。
まさに『知的活動とは語彙の獲得に他ならない』と言ったところですね。