手紙 東野圭吾

手紙

作者の作り出した世界へ引きずり込まれました。

弟の為の純粋な気持ちから過ちを犯し、弾みで相手を殺めてしまった強盗殺人犯として服役中の兄が唯一の肉親である弟が主人公。

『殺人犯の弟』というレッテルを貼られ辛い人生を歩むことを余儀なくされた弟。
そして主人公との関わりを避け彼を孤立させていくごく普通の人々。

犯罪によってもたらされた心の傷は被害者家族にはもちろん加害者の家族にも一生付きまとっていくということがありありと描かれ、登場人物に感情移入させられながら読む私の心をズシリと重くさせます。

手紙のみが壁の向こう側との繋がりであり、罪を償うため服役中の兄。周囲の差別から家族を守るために、兄との絶縁を決意する主人公。その決断が正しいことなのかその答えはこの本の中には描かれていません。

そしていわれの無い『無念』の思いを抱えた被害者の家族。

ラストシーン。
一つの犯罪が引き起こした波紋がまるで自分に降りかかっているかのように登場人物と一緒に考えさせられました。

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