宇宙消失 グレッグ・イーガン著/山岸真 訳
モッドと呼ばれ、遺伝子操作によって人体に対して無害化したエンドアメーバーを利用して人間の脳のニューロンをある特定の機能をさせる為に結線させるというナノテクノロジーが発明されている時代の話です。
量子論的にあらゆる可能性に拡散したバージョンの自分(或いは事象)が収縮するのを阻害した上でどのバージョン(固有状態)を選択するのかということを選ぶことが出来る特殊な『モッド』をめぐる話が物語の核。
人間の脳には観測することによって波動関数を収縮させる機能があり、人類の登場以来あらゆる事柄(宇宙を含む)を観測することによって多くの事柄(波動関数)を収縮させてきた。その観測から逃れる為に『バブル』が築かれたのか?
???・・・この文章って合ってます?
同じところを2・3度読むこともしばしばでした。面白い本なのかって?
1部が終わって2部の途中までは先が気になって気になってぐいぐい読み進みました。
特殊なモッド『アンサンブル』、謎の女性ローラ、『バブル』の謎のみならず、モッドを使って精神を安定させたり人間の機能を高め研ぎ澄ますことによる『本当の自分とは?』という疑問。
論理的にもアクロバティックな物語の展開と共に色々な要素を盛り込んだエンターテイメントとして楽しめました。
あらすじ:
2034年正体不明の、半径が冥王星軌道の2倍もある『バブル』と呼ばれる暗黒の球体が太陽系を包みこんだため地球の夜空から星々が消えた。
世界を恐慌が襲ったが33年が過ぎ、人類はその環境に慣れつつあった。
ある日、元警察官ニックは、病院から消えた若い女性の捜索依頼を受ける。
その女性は脳に損傷を受け生まれ、歩くことも他人と意思の疎通をすることも出来ないはずだが過去2回病院の外で発見された過去を持っていた。
彼女の正体は?なぜ彼女は誘拐されたのか?
一体何の為に誰によって『バブル』は築かれたのか?