未来の二つの顔 J・P・ホーガン著/山高昭訳



未来の二つの顔

高度な統合能力を持ったコンピューターが人間の要求に対してあらゆる可能性の中から最適と思われる方法を独自に導き出してくれるという時代の話。

月面の工事現場での整地の指示に対してコンピューター『タイタン』は人間の予想を超えた統合能力を発揮し、質量駆動機を使って爆撃するという荒療治で対応したが、作業員達はすんでのところで生命の危機から免れた。

このままコンピューターに生活を委ねたままで良いのか、再びこのような事故が再発するのではないか。

レイモンド・ダイアーは現『タイタン』HESPERシステムの設計者で更に進んだコンピュータを研究している。

彼は人類のコンピューターへの危惧を実験で確かめる為、建造中のスペースコロニーに『自己保存』をプログラムされた人工知能システム『スパルタクス』をセットアップしての実験を提案する。

スペースコロニー『ヤヌス』の住人は不測の事態に備えて軍人と科学者のみ。

『自己保存』のプログラムは『生存本能』となるのか、そのコンピューターは人類の指示に従うのか、それとも敵対するのか?

なかなかスリリングな展開でSF好きには楽しめます。物語の中で今回は相当の犠牲者が出ますが、相変わらずの著者の楽観主義にも好感が持てます。

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