断絶への航海 ジェームズ・P.ホーガン・著 小隅黎・訳

断絶への航海

2020年、人類は人の遺伝情報をデータ化しそれを再生する能力を搭載したコンピューターを備えた無人宇宙船『クワン・イン(観音)』をアルファ・ケンタウリへと送りだした。人類が居住可能な惑星を見つけ、コンピューターがその地で人類を再生しようという計画だ。

20年後、<クワン・イン>から計画通り人類再生が行われたとの一報が入る。人類が定住するのに適したその惑星の名は『ケイロン』。

そのころ地球では三大勢力すなわち、新アメリカ・大ヨーロッパ・東亜連邦がその覇権を競っていた。三大勢力はそれぞれに、恒星船の開発に着手する。新アメリカは一番手で『メイフラワー2世』を完成させ『ケイロン』に向け到着時に3万人となる乗員を乗せ地球を発った。

一行は、出発から20年後惑星ケイロンへと到着するが……。

『メイフラワー2世』号の指導者層は大ヨーロッパや東亜連邦から先んじ、ケイロン人を新秩序アメリカ流に支配し、資本主義をケイロンに根付かせようと画策しますがケイロン人は独自のスタイルを崩そうとしません。初期のケイロン人(ファウンダー)誕生から約40年、地球人を迎えるケイロン人たちの社会秩序とは?彼らが地球人との接触のためにどのような準備をしていたのか?

機械に育てられたケイロン人たちの社会はある意味理想郷として描かれています。『メイフラワー2世』に乗ってやってきた資本主義者はだいぶあこぎに描かれています。理想社会の一つの提案、SFの一つの試みとして大変楽しめる作品。

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