社交ダンス
昨日(10月21日付)の記事にこんなコメントを寄せていただきました。私が社交ダンサーの代表として語ろうなんて大それたことではありませんが、社交ダンスを踊る者としてとても大切な点だと思いますので私なりに考えていることを私なりの言葉で今日の記事として返信したいと思います。
~10月21日付コメントより~
それでは本当のダンスは何なのですか?競技ダンス、スポーツダンスと有りましたが、違う分野のダンスをしている私から思うに、社交ダンスとは何なのですか? 音楽を感じ無いですし、動くことが出来ません。 固まって、動いている感じしか有りません!ダンスはフリーに、そして躍動感が有るものだと思います!音楽性も当たり前ですし。 ホールドの中の筋肉は、どのように動いているのですか?
誠に失礼な質問ですみません!
はじめてです。さん>
私の書き方が悪いため、もっともな御指摘だとも思います。ちょっと誤解を受けかねない『ダンス』と『社交ダンス』『競技(スポーツ)ダンス』を別物として区別すべきとも受け取れる書き方をしてしまいました。
私がここで言いたかったのは音楽性やフリーな躍動を無視してでも!と言うことでは全くありません。
社交ダンスはその競技の形式上、短時間の中でいかに審査員の注目を集め好感を持ってもらうかと言うことが必要になってきます。
そこで第一印象である身だしなみを整えるのと同じようにシンプルにホールドを見直してみては?と提案しました。
音楽があってダンスを踊る場合最終的なゴールは音楽性だと私も思います。
私自身もいわゆる『社交ダンス』に携わるものとして実際に音楽性がともするとないがしろにされ、ダンサーとして訓練していく上でウェイトが低いのではないかと言うことを残念に感じる事もあります。
音楽性を肉体で表現するためには繊細な筋肉の動き、コントロールが必要だと思います。ダンスを踊るダンサーが耳で聞き、感じた音と同調して筋肉を動かす。
『社交ダンス』の場合常に二人が接近して踊りますから二人で音楽性を一致・同調させなくてはなりません。同じ音楽を聴いていつも同じように感じるのか?そうとも限りません。音楽を聴いて即興的にそのときに感じた表現をする必要もあります。
そもそもホールドは二人の音楽性、筋肉の細やかな動きを互いに伝え合う『橋渡し』の役割をしなくてはなりません。ですから相手を締め付けて固めてしまうようではいけません。しかし同時にグニャグニャで不恰好でもいけません。
二人の足、脚部、ヒップ、背中、肩、首周りの筋肉の動き・躍動を二人が一緒に踊るため適度なトーンを保った手・腕つまり『ホールド』を通して同調させていくと言うことが必要になってきます。
『ホールド』の中の筋肉はどのように動いているのか?
これは大変重要な質問です。先ほど書いたようにホールドを固めてしまっては身動きが取れなくなってしまいます。ですから『ホールド』がそこに浮いていられるように筋肉を使います。
どういう事かというと、回転・移動その他の動きの勢いに対して『ホールド』を構成している手・腕が二人の間で一定の位置関係に浮いていられるのに必要な方向に筋肉を動かすのです。たとえば回転した後に体が止まれば勢いで腕は回り続けようとします。そこで男性はその勢いに負けないだけの必要な筋力でホールドの回転を止めたように見せます。
もう少し詳しく説明すると、一般に社交ダンスを踊っていく方向性は男性が主導権を持っていますので男性が行った動作に対して女性が気づくのにはわずかな時差があります。男性はその時差を計算に入れてホールドを一定に保つために筋肉を使います。女性のアクションが音楽と同調できるようなタイミングで動作することも大切です。そのためには音楽よりもやや早めに動作を伝える準備をしなくてはならない場面もあるでしょう。(言葉で説明するのは全く簡単なことではありませんね!)
『社交ダンス』或いは『競技ダンス』の競技の形式上、目立とう精神を強く発揮した選手が勝ち残っていくことも実際にはあると思います。最近特にその傾向が強くなってきているのではないかと危惧する声も聞かれます。
また、ホールドに対して深い理解をせずにとりあえず形にとらわれて固めてしまう方もいると思います。
このダンスを英語では『Ballroom Dance』と言うのですが私が師事したダンスの先生は競技がボールルームダンスを悪くする、と嘆いていました。
『社交ダンス』について私がこのブログで一貫して言ってきたのは『音楽に合わせて二人で一緒に躍動する』ということです。音楽と男と女。この三者が同調して初めて『社交ダンス』は意味の有る物になります。
私自身が果たしてそのような表現が出来ているか?と聞かれれば十分な自信はありません。ただそれを目指していますとしか言えません。元にほんチャンピオンがそんな事で良いのか?と言われそうですが。
『社交ダンス』は多くの方があらゆるレベルで楽しみ、競技会にチャレンジしダンスを磨いています。二人の筋肉の躍動を完全にコントロールし同調させ音楽を表現するという域にまで達するのは深い理解と訓練・経験、感性を高めることが必要です。
そのような(社交ダンスの)ダンサーが日本から多く出現するように願っています。
私の言葉がまだまだ足りないかもしれないと少し心配ですが今の私なりの考えです。
今回はコメントありがとうございました。