博士の愛した数式
ジーンと来る爽やかな読後感です。
事故で脳に障害を負ったため物事を80分しか記憶していられない元数学『博士』、家政婦の『私』と頭の天辺がが平らで博士に『ルート』と言うあだ名を付けられた息子の3人が主人公。
『子供は大人よりずっと難しい問題で悩んでいる』ことや『質問をされたら、正確な答えを示すだけではなく、質問した相手に誇りを与える』といった博士のルートへの接し方には改めて気付かされることが多々あります。
以降これからこの本を読もうとい方は読まないほうが良いかもしれません。
『私』の誕生日が2月20日「220」、博士の学長賞が284番目で220と284が友愛数(その数字自身以外の約数の和が相手の数字になる)だったり、博士とルートが野球観戦の際に座った席の番号が714と715だったり(714と715には不思議な関係がある)江夏のプレミアカードが手に入ったりかなり都合が良かったなぁという気も致しますがそんな細かいことを一々気にせず素直な心で読みたいものです。
博士に影響を受けたルートの進路を知ればジーンと来ます。
私は文庫版の『解説』として藤原正彦氏が書いた文章は鋭く、優しく、これがかなり好きです。